日産のコンパクトカーとして高い人気を誇るノートE12。特に2016年11月以降の後期型は、画期的なパワートレイン「e-POWER」の登場により、大きな注目を集めました。しかし、いざ購入を検討し始めると、その豊富なグレード展開に頭を悩ませる方も少なくありません。
中古車市場でも多くの個体が流通していますが、前期後期モデルの明確な違いや、各グレードの燃費性能、さらには知る人ぞ知る不人気色の存在など、事前に把握しておきたいポイントは数多く存在します。また、型式が同じdba-e12であっても、途中でsグレードが廃止された背景や、カタログ情報だけでは分かりにくい細かな装備差など、後悔しないためのグレードの調べ方で迷うこともあるでしょう。
この記事では、日産ノート e12 の後期 グレードに焦点を当て、それぞれの特徴から自分にぴったりの一台を見つけるためのポイントまで、網羅的に詳しく解説していきます。
この記事を読むことで、以下の点について理解を深めることができます。
- E12ノート後期型のグレード構成と全体像
- e-POWERとガソリン車の特徴や燃費の違い
- Xやメダリストなど主要グレードの装備と選び方
- 中古車選びで注意すべきポイントや調べ方
日産ノート e12 後期 グレードの全体像と特徴
日産ノートE12の後期型は、前期型から大きな進化を遂げました。ここでは、その全体像を把握するために、モデルチェンジの内容からパワートレインの違い、多彩なグレードのラインナップまでを解説します。
- 前期後期でのモデルチェンジによる違い
- 型式dba-e12の基本スペックとボディサイズ
- カタログで見る主要グレードのラインナップ
- e-POWERとガソリン車の根本的な違い
- 安全装備の観点から見るsグレード廃止
- NISMOやAUTECHなどの特別グレード
前期後期でのモデルチェンジによる違い

日産ノートE12は、2016年11月のマイナーチェンジを境に前期型と後期型に分けられ、その内容はフルモデルチェンジに近いほど大きな進化を遂げました。
最大の変更点は、新開発の電動パワートレイン「e-POWER」が追加されたことです。これはエンジンを発電専用とし、100%モーターで駆動するシステムで、電気自動車のような静粛性と力強くスムーズな加速フィールを実現しました。このe-POWERの登場により、ノートは国内販売台数で上位を争うほどの人気モデルへと駆け上がります。
エクステリアデザインも大きく変更されました。フロントには、当時の日産のデザインアイコンである「Vモーショングリル」が採用され、よりシャープで精悍な印象になりました。ヘッドライトやバンパーのデザインも一新されています。
さらに、安全装備も進化しています。先行車や歩行者を検知する「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」の性能が向上したほか、アクセルとブレーキの踏み間違いを防止する「踏み間違い衝突防止アシスト」が多くのグレードで標準装備となりました。このように、後期型はデザイン、走行性能、安全性のすべてにおいて前期型から大幅なアップデートが図られています。
型式dba-e12の基本スペックとボディサイズ

日産ノートの型式にはいくつか種類がありますが、「DBA-E12」は、後期型の中でも1.2Lガソリンエンジンを搭載したFF(前輪駆動)モデルを指します。ちなみに、e-POWER搭載のFFモデルは「DAA-HE12」、ガソリン4WDモデルは「DBA-NE12」となります。
ここでは、最も基本的なガソリンFFモデルであるDBA-E12のスペックを見ていきましょう。
ボディサイズは全長4,100mm × 全幅1,695mm × 全高1,525mmとなっており、日本の道路事情に最適な5ナンバーサイズに収まっています。最小回転半径も小さく、狭い路地や駐車場での取り回しが非常にしやすいのが大きなメリットです。
搭載されるエンジンは、排気量1,198ccの直列3気筒「HR12DE」エンジン、またはそれにスーパーチャージャーを追加した「HR12DDR」エンジン(DIG-S)の2種類です。
ただし、「NISMO」や「シーギア」といった一部のカスタムグレードでは、専用エアロパーツの装着により全長や全幅が若干異なる場合があります。とはいえ、基本的な車体のサイズ感は変わらないため、運転のしやすさが損なわれることはありません。
カタログで見る主要グレードのラインナップ

ノートE12後期型のグレード構成は非常に多彩で、ユーザーのライフスタイルや好みに合わせて幅広く選べるのが魅力です。パワートレイン別に、大きく「e-POWER」搭載車と「ガソリン」搭載車に分かれ、それぞれに複数のグレードが設定されています。
主なグレード構成は以下の表の通りです。
グレード系統 | パワートレイン | 主な特徴 |
---|---|---|
標準グレード | e-POWER / ガソリン | 基本となる「S」と、装備が充実した「X」が存在。コストパフォーマンスに優れる。 |
メダリスト | e-POWER / ガソリン | 内外装にメッキパーツなどをあしらい、質感を高めた上級グレード。 |
Vセレクション | e-POWER / ガソリン | 「X」をベースにLEDヘッドランプやナビ取付パッケージなど人気装備を追加したお買い得仕様。 |
ブラックアロー | e-POWER / ガソリン | ルーフやドアミラーをブラックで統一し、スポーティな内外装を持つグレード。 |
シーギア | e-POWER / ガソリン | SUVテイストの専用エクステリアパーツを装備したアクティブなグレード。 |
NISMO | e-POWER / ガソリン | 専用サスペンションやエアロパーツで武装した、走行性能特化のスポーツモデル。 |
AUTECH | e-POWER / ガソリン | 細部までこだわった内外装を持つ、プレミアム・スポーティなカスタムカー。 |
Google スプレッドシートにエクスポート
このように、シンプルな実用グレードから、豪華さ、スポーティさ、アクティブさを追求した個性的なグレードまで、豊富な選択肢が用意されていることが分かります。
e-POWERとガソリン車の根本的な違い

ノートE12後期型を選ぶ上で最も重要な選択が、e-POWERとガソリン車のどちらのパワートレインにするかという点です。両者には、単なる燃費の違い以上に、走行フィールや車両価格といった根本的な違いが存在します。
H4: 駆動方式の違い
最大の違いは、タイヤを駆動する仕組みです。ガソリン車は、従来通りエンジンの力で直接タイヤを回して走行します。一方、e-POWERはエンジンを搭載しているものの、その役割はあくまで発電に徹しており、走行は100%モーターの力で行います。このため、e-POWERは日産自身が「電気自動車の新しいカタチ」と表現するように、走行感覚は電気自動車に極めて近いものとなっています。
H4: 走行フィールの違い
e-POWERは、モーター駆動ならではの静かでシームレスな加速が特徴です。アクセルを踏んだ瞬間から力強く反応し、変速ショックのない滑らかな走りを体感できます。また、アクセルペダルの操作だけで加減速をコントロールできる「e-POWER Drive」は、慣れると運転の疲労を軽減してくれる独自の機能です。 対するガソリン車は、エンジン音や振動といった内燃機関ならではのフィーリングがあります。特にスーパーチャージャーを搭載した「DIG-S」グレードは、低回転から力強いトルクを発生させ、キビキビとしたスポーティな走りを楽しめます。
H4: メリットとデメリット
e-POWERのメリットは、圧倒的な燃費性能と静粛性、そしてユニークな走行体験です。デメリットは、構造が複雑なためガソリン車に比べて車両価格が高くなる点です。 ガソリン車のメリットは、車両価格が比較的安く、構造がシンプルなためメンテナンス面で安心感があることです。デメリットは、燃費性能や静粛性でe-POWERに及ばない点でしょう。
<h3>安全装備の観点から見るsグレード廃止</h3>
ノートE12のグレード構成を調べていると、「S」グレードの扱いがe-POWERとガソリン車で異なることに気づくかもしれません。特に安全装備の観点から見ると、当時の車両開発の考え方が垣間見えます。
後期型において、ガソリン車の「S」グレードは基本的な安全装備を備えたエントリーモデルとしてラインナップされていました。一方で、「e-POWER S」は、ノートのグレードの中で唯一、衝突被害軽減ブレーキ(インテリジェント エマージェンシーブレーキ)が標準装備されていませんでした。
この理由は、e-POWERという新しい技術の魅力を、少しでも多くの人に、より安価で提供したいという日産の戦略があったためと考えられます。装備を簡略化することで、車両本体価格を低く設定していたのです。そのため、「e-POWER S」は、主に価格を最優先する法人ユーザーやレンタカーなどがターゲットでした。
しかし、近年では安全装備を重視するユーザーが大多数を占めます。結果として、個人ユーザーの選択肢は実質的に安全装備が標準搭載される「e-POWER X」以上のグレードが中心となりました。このような背景から、後のモデルチェンジでe-POWERの「S」グレードはラインナップから姿を消すことになります。中古車で「e-POWER S」を検討する際は、安全装備が非搭載である点を必ず理解しておく必要があります。
NISMOやAUTECHなどの特別グレード

ノートE12には、標準グレードやメダリストとは別に、強い個性を持つカスタムカーが設定されているのも大きな特徴です。代表的なのが、日産のモータースポーツ活動を担う「NISMO」と、プレミアム感を追求した「AUTECH」です。
H4: NISMOシリーズ
「NISMO(ニスモ)」は、サーキットで培われた技術をフィードバックした本格的なスポーツモデルです。専用のエアロパーツによる迫力あるエクステリアだけでなく、ボディ剛性の強化、専用チューニングのサスペンション、強化ブレーキなど、走行性能に関わる部分に徹底的に手が加えられています。 さらに、ガソリン車にはエンジンにも専用チューニングを施した「NISMO S」が設定され、より過激な走りを楽しむことができます。走りにこだわりたい、人とは違うスポーティなコンパクトカーが欲しいという方に最適な選択肢です。
H4: AUTECHシリーズ
「AUTECH(オーテック)」は、NISMOとは方向性が異なり、「プレミアムスポーティ」をコンセプトに内外装の質感を高めたモデルです。エクステリアにはメタル調の専用パーツが配され、上質で洗練された雰囲気を醸し出します。インテリアにも、手触りの良いシート地やブルーのステッチなど、随所にこだわりが感じられます。 落ち着いた雰囲気の中にスポーティさや個性を求める、大人のためのカスタムカーと言えるでしょう。
この他にも、SUVテイストを盛り込んだ「シーギア」など、多彩なモデルが存在し、ユーザーの多様な価値観に応えています。
失敗しない日産ノート e12 後期 グレードの選び方
多彩なグレードの中から自分に合った一台を選ぶためには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。ここでは、燃費性能の比較から、中古車選びのコツ、具体的なグレードの調べ方まで、失敗しないための選び方を解説します。
- グレードごとの燃費性能を徹底比較
- 中古車選びで知っておきたい不人気色
- 自分に合ったグレードの調べ方と注意点
- 最適な日産ノート e12 後期 グレードを選ぼう
グレードごとの燃費性能を徹底比較

グレード選びにおいて、燃費性能は車両の維持費に直結する非常に重要な要素です。ノートE12後期型は、パワートレインや駆動方式によって燃費が大きく異なりますので、ここで詳しく比較してみましょう。
燃費のカタログスペックは、JC08モードで比較するのが一般的です。
パワートレイン | 主要グレード | 駆動方式 | 燃費(JC08モード) |
---|---|---|---|
e-POWER | e-POWER S | FF | 37.2 km/L |
e-POWER X | FF | 34.0 km/L | |
e-POWER メダリスト | FF | 34.0 km/L | |
e-POWER X FOUR | 4WD | 28.8 km/L | |
ガソリン | S, X, メダリストX | FF | 23.4 km/L |
(スーパーチャージャー無) | X FOUR | 4WD | 18.2 km/L |
ガソリン | X DIG-S, メダリスト | FF | 26.2 km/L |
(スーパーチャージャー付) |
表から明らかなように、e-POWER搭載車の燃費性能が突出して優れています。特に「e-POWER S」の37.2km/Lは、当時のコンパクトカーの中でもトップクラスの数値です。ただし、前述の通り、このグレードは安全装備が簡略化されている点に注意が必要です。
ガソリン車では、スーパーチャージャーを搭載した「DIG-S」系グレードが、非搭載モデルよりも優れた燃費性能を発揮しています。これは、スーパーチャージャーによりエンジンの効率が高められているためです。
年間の走行距離が長い方であれば、車両価格が高くてもe-POWERの燃料代メリットは大きくなります。一方で、走行距離が短い方や初期費用を抑えたい方は、ガソリン車も十分に魅力的な選択肢となります。
中古車選びで知っておきたい不人気色

中古車でノートE12を探す際、ボディカラーに注目すると、思わぬ掘り出し物に出会える可能性があります。一般的に中古車市場では、人気色とそうでない色(不人気色)とで価格に差がつく傾向があるからです。
ノートE12後期型で定番の人気色は、やはり「ブリリアントホワイトパール」や「スーパーブラック」といった白・黒系です。これらの色は誰にでも受け入れられやすく、リセールバリューも高いため、中古車価格も高値で安定しがちです。
一方で、比較的価格が抑えめになる可能性があるのが、個性の強いカラーです。例えば、「キャニオンブロンズ」や「チタニウムカーキ」といったアースカラー系、あるいは「プレミアムコロナオレンジ」や「ナデシコピンク」といった鮮やかな有彩色が挙げられます。これらの色は好みがはっきりと分かれるため、需要が白・黒ほど高くなく、結果として同程度の状態の車両が安価に設定されていることがあります。
もちろん、車の価値は色だけで決まるものではなく、年式、走行距離、修復歴の有無、装備などが総合的に判断されます。しかし、ボディカラーに強いこだわりがないのであれば、あえてこれらのカラーを狙うことで、予算内でより条件の良い車両を見つけられるかもしれません。これは、賢い中古車選びの一つのテクニックと言えます。
自分に合ったグレードの調べ方と注意点

数あるグレードの中から、自分の使い方や予算に本当に合った一台を見つけ出すには、やみくもに探すのではなく、段階を踏んで調べていくのが効率的です。
H4: ステップ1:ライフスタイルからパワートレインを決める
まずは、ご自身のカーライフを基に、e-POWERとガソリン車のどちらが向いているかを判断します。 毎日の通勤や買い物で長距離を走る、燃費を最優先したい、静かな車が好き、という方ならe-POWERが最適です。 逆に、車の使用頻度は週末が中心、年間の走行距離はそれほど多くない、できるだけ購入費用を抑えたい、という方であれば、ガソリン車が合理的な選択となるでしょう。
H4: ステップ2:譲れない装備をリストアップする
次に、自分にとって「これだけは外せない」という装備を明確にします。例えば、
- 衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全装備
- 高速道路をよく利用するなら、インテリジェントクルーズコントロール
- 駐車が苦手なので、インテリジェントアラウンドビューモニター
- LEDヘッドランプによる夜間の視認性 といった具合です。欲しい装備をリストアップすることで、対象となるグレードが自然と絞り込まれてきます。例えば、アラウンドビューモニターが欲しい場合は、「Vセレクション」や「メダリスト」などが有力候補になります。
H4: ステップ3:情報サイトやカタログで最終確認
候補となるグレードがいくつか絞れたら、中古車情報サイトやメーカーの電子カタログなどで、年式ごとの詳細な装備内容や中古車相場を確認します。ノートは毎年のように一部改良が行われているため、同じグレード名でも年式によって装備が微妙に異なる場合があります。この最終確認を怠らないことが、購入後の「こんなはずではなかった」という後悔を防ぐ上で大切です。
最適な日産ノート e12 後期 グレードを選ぼう
この記事では、日産ノートE12後期型のグレードに関する様々な情報をお届けしました。最後に、最適な一台を選ぶための重要なポイントをまとめます。
- ノートE12後期型は2016年11月以降のモデルを指す
- 最大の特徴は画期的なパワートレイン「e-POWER」の登場
- e-POWERは100%モーター駆動で静かでスムーズな走りを実現
- ガソリン車(DBA-E12)はシンプルな構造で車両価格が手頃
- 燃費性能を最優先するならe-POWERが圧倒的に有利
- 基本的なグレードは装備が充実した「X」
- 上質な内外装を求めるなら「メダリスト」
- 「S」グレードは装備がシンプルなため内容をよく確認する
- 安全性を重視するなら衝突被害軽減ブレーキ搭載グレードが推奨される
- 「NISMO」は走りに特化した本格スポーツモデル
- 「AUTECH」は内外装の質感を高めたプレミアムカスタムカー
- SUVテイストの「シーギア」など個性的なモデルも豊富
- 中古車では白や黒以外のボディカラーが割安な場合がある
- グレード選びはまずパワートレインから決めるのが効率的
- 自身の使い方に合った装備の優先順位を明確にすることが鍵となる
- 年式による装備の変遷があるため最終確認を怠らない
- 非常に多彩な選択肢から自分のスタイルに合う一台を見つけられる