愛車を売却しようと考えたとき、「中古車の買取は売値の何割くらいになるのだろう?」という疑問が浮かびますよね。例えば100万で買った車が、実際にいくらで売れるのかは、誰もが気になるところです。最近では中古車買取価格の高騰も話題ですが、買取価格は年式や走行距離、そして車種の人気によって大きく変動します。この記事では、買取価格が決まる仕組みから、愛車を少しでも高く売るためのポイントまで、詳しく解説していきます。
この記事で分かること
- 中古車買取価格が売値の何割になるかの目安
- 買取価格が変動する具体的な要因
- 買取業者が見込む利益や経費(中間マージン)の仕組み
- 愛車を相場より少しでも高く売るための実践的なコツ
中古車買取は売値の何割?価格が決まる仕組み
- 100万で買った車はいくらで売れるのか
- 価格を左右する年式と走行距離の関係
- 車種の人気が査定額に与える影響
- なぜ中古車買取価格は高騰しているのか
- 買取店の利益と中間マージンの実態
100万で買った車はいくらで売れるのか

結論から言うと、中古車の買取価格は、一般的にその車が中古車として販売される価格(売値)の6割から7割程度が目安とされています。もちろん、これはあくまで一般的な相場であり、車の状態や人気度によって割合は変動します。
例えば、中古車販売店で100万円の値札が付いている車があったとします。その場合、買取店が元の所有者から買い取った価格は、およそ60万円から70万円程度であったと推測できます。残りの30万円から40万円が、買取店の利益や再販売までにかかる経費となります。
なぜこのような価格差が生まれるのかというと、買取業者は車を買い取った後、利益を確保しつつ、次の買い手が見つかるまでの様々なコストを支払う必要があるからです。これには、店舗の維持費や人件費、広告費といった運営コストのほか、買い取った車を商品にするための整備費用やクリーニング代などが含まれます。
買取価格はあくまで目安
この「6割~7割」という数字は、すべての車に当てはまるわけではありません。非常に人気の高い車種や状態の良い車であれば8割以上の価格が付くこともありますし、逆に年式が古い、走行距離が多い、状態が悪いといった車の場合は5割を下回ることも珍しくありません。ご自身の車の正確な価値を知るには、実際の査定を受けることが不可欠です。
価格を左右する年式と走行距離の関係

中古車の査定額を決定づける最も基本的な要素が、「年式」と「走行距離」です。一般的に、年式が新しく、走行距離が短いほど車の価値は高くなります。
年式が新しいほど価値が高い理由
年式が新しい車は、単純に新しいというだけでなく、最新の安全装備や燃費性能を備えているため、中古車市場での需要が高くなります。また、部品の劣化が少なく故障のリスクが低いため、買取店としても安心して再販できるというメリットがあります。車の価値は、新車登録から時間が経つほど下落していくのが一般的です。
走行距離が短いほど価値が高い理由
走行距離は、その車がどれだけ使用されてきたかを示す重要な指標です。走行距離が短い車は、エンジンやサスペンションといった主要部品の消耗が少ないと判断され、高く評価されます。中古車市場では、「1年あたり1万km」が標準的な走行距離と見なされることが多く、これを大幅に上回ると査定額が下がる傾向にあります。
経過年数 | 走行距離の目安 | リセールバリューの目安 |
---|---|---|
3年落ち | 3万km | 新車価格の60%~70% |
5年落ち | 5万km | 新車価格の40%~60% |
10年落ち | 10万km | 新車価格の10%~20% |
豆知識:車の年式は1月1日に変わる
車の「年式」は、購入日や車検のタイミングではなく、毎年1月1日を迎えると一斉に1年古くなります。そのため、例えば12月末に車を売るか、年明けの1月に売るかで、査定上は1年分の差がついてしまう可能性があります。もし年末に売却を検討しているなら、年を越す前に手続きを進める方が有利になるかもしれません。
車種の人気が査定額に与える影響

年式や走行距離と同じくらい査定額に大きな影響を与えるのが、その車種の人気です。中古車市場で需要の高い、いわゆる「人気車種」は、買取価格も高くなる傾向にあります。
買取店にとって、人気車種は「在庫として抱えるリスクが低い商品」です。すぐに次の買い手が見つかる可能性が高いため、多少高い価格で買い取っても、利益を確保しやすいのです。これを買取業界では「回転率が良い」と言い、回転率の良い車種は積極的に高値で買い取られます。
具体的に人気が高い車種のジャンルとしては、以下のようなものが挙げられます。
- ミニバン:アルファードやヴォクシーなど、ファミリー層から絶大な支持を得ている車種は、中古車でも値崩れしにくいです。
- SUV:ハリアーやランドクルーザーなど、デザイン性や走破性の高さから、国内外で非常に人気があります。
- 軽自動車:N-BOXやタントなど、維持費の安さや使い勝手の良さから、常に安定した需要があります。
逆に、セダンや一部のコンパクトカーなど、需要が落ち着いているジャンルの車は、状態が良くても査定額が伸び悩むことがあります。また、同じ車種でもボディカラー(一般的に白や黒が人気)やグレードによって人気が分かれ、査定額に差が出ることがあります。
なぜ中古車買取価格は高騰しているのか

近年、「中古車の価格が上がっている」というニュースを耳にする機会が増えました。この中古車買取価格の高騰は、主に新車の供給不足が原因です。
2020年頃から始まった世界的な半導体不足や、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、自動車部品の供給網が混乱し、多くの自動車メーカーで新車の生産が滞りました。その結果、新車を注文しても納車まで1年以上待つという状況が常態化したのです。
「すぐに車が必要なのに、新車が手に入らない」という人々が、状態の良い中古車を求めるようになりました。このように需要が中古車市場に集中したことで、中古車の価値が全体的に押し上げられ、買取価格も高騰したというわけです。特に、納期の長い人気車種は、中古車価格が新車価格を上回る「価格逆転現象」も起きました。
この高騰はいつまで続く?
この価格高騰は、新車の生産体制が正常化すれば、いずれ落ち着くと考えられています。実際に一部の車種では、相場が落ち着き始めているという情報もあります。そのため、「高く売れるうちに」と売却を検討するのも一つの考え方と言えるでしょう。
買取店の利益と中間マージンの実態

前述の通り、中古車の販売価格と買取価格の差額が、そのまま買取店の利益になるわけではありません。この差額、いわゆる「中間マージン」には、買い取った車を商品として仕上げ、次のオーナーに届けるまでの様々な経費が含まれています。
買取店が買い取った車を再販するまでには、主に2つのルートがあります。
- オークションルート:買い取った車を業者専門のオートオークションに出品し、他の中古車販売店が落札する。
- 直接販売ルート:自社の展示場で整備・販売する。
どちらのルートを辿るにしても、以下のような経費が発生します。
経費項目 | 内容 |
---|---|
整備・修理費用 | 安全に走行できるよう点検・整備する費用。オイル交換やタイヤ交換、傷の補修など。 |
クリーニング費用 | 内外装を綺麗に洗浄し、商品価値を高めるための費用。 |
オークション関連費用 | オークションへの出品料や成約料、会場までの陸送費など。 |
在庫管理費用 | 車を保管しておくための駐車場代や、品質を維持するための管理費。 |
販売管理費 | 人件費、店舗の家賃、広告宣伝費など、会社の運営に必要な経費。 |
高価買取を狙うなら「直接販売」の業者が有利
これらの経費を考慮すると、オークションを介さず、買取から販売までを自社で一貫して行う「直接販売(ダイレクト販売)」形式の業者の方が、中間マージンを圧縮できる可能性があります。削減できたコストを買取価格に還元してくれる場合があるため、高価買取が期待しやすくなります。
中古車買取で売値の何割が変わる?高く売るためのポイント
- 高く売るためのポイントは業者選びから
- 複数の業者から見積もりを取る重要性
- 車を売るタイミングを見極めるコツ
- 査定前に車の状態を良くしておくべき理由
- 純正パーツや付属品を揃えて査定額アップ
- まとめ:中古車買取は売値の何割になるのか
高く売るためのポイントは業者選びから

愛車を少しでも高く売るためには、どこに売るか、つまり「業者選び」が最も重要と言っても過言ではありません。なぜなら、買取業者によって得意とする車種や販売ルートが異なり、同じ車でも査定額に大きな差が出ることが日常的にあるからです。
買取業者は、主に以下のようなタイプに分けられます。それぞれの特徴を理解し、ご自身の車に合った業者を選びましょう。
ディーラーでの下取り
新車購入と同時に、今まで乗っていた車を引き取ってもらう方法です。手続きが一度で済むため手間がかからないのが最大のメリットですが、査定額は買取専門店に比べて低めになる傾向があります。
大手買取専門店
全国に店舗網を持ち、豊富な販売ルートを確保しています。あらゆる車種に対応でき、安定した価格が期待できます。テレビCMなどで知名度が高い業者も多く、安心して取引しやすいのが特徴です。
車種専門の買取店
「SUV専門店」「スポーツカー専門店」など、特定のジャンルに特化した業者です。その車種に関する深い知識と独自の販売網を持っているため、一般的な業者では評価されにくい価値(カスタムパーツなど)も正しく評価してくれる可能性があります。
自分の車に合った業者を探そう
例えば、カスタムしたスポーツカーを売るならスポーツカー専門店へ、海外で人気の古いSUVなら輸出ルートを持つ業者へ相談するなど、自分の車の特徴を活かせる業者を選ぶことが、高価売却への近道となります。
複数の業者から見積もりを取る重要性

最適な業者を選ぶのと同じくらい重要なのが、複数の業者から見積もりを取って比較する「相見積もり」です。
もし1社だけの査定で売却を決めてしまうと、その提示額が本当に適正な価格なのかを判断する術がありません。もしかしたら、他の業者ならもっと高い価格を付けてくれたかもしれないのです。
相見積もりを取ることには、以下のような大きなメリットがあります。
- 愛車の最高額が分かる:複数社の査定額を比べることで、その時点での愛車の最高価格を知ることができます。
- 価格交渉の材料になる:「他社では〇〇円でした」という情報が、強力な価格交渉の材料になります。
- 業者間の競争を促す:査定士は他社と比較されていることを知っているため、自社で買い取ろうと、自然と高い価格を提示しやすくなります。
相見積もりを取る際は、一件一件店舗を回るのも良いですが、インターネットの「一括査定サイト」を利用するのが非常に効率的です。一度の入力で複数の業者に査定を申し込めるので、手間を大幅に省けますよ。ただし、申し込み後に複数の業者から電話がかかってくることが多いので、その点は念頭に置いておきましょう。
車を売るタイミングを見極めるコツ

車を売る「時期」を意識するだけでも、買取価格を高くできる可能性があります。中古車市場には、車の需要が高まる「繁忙期」が存在し、その時期は買取店も在庫確保のために買取を強化するからです。
中古車の需要が高まる時期
最も需要が高まるのは、1月~3月の決算期・新生活準備シーズンです。この時期は、就職や転勤などで車を購入する人が増えるため、中古車販売店は在庫を豊富に揃えようとします。そのため、その直前の12月~2月頃は、買取価格が上昇する傾向にあります。
次いで需要が高まるのが、7月~9月の夏のボーナスシーズンや半期決算期です。この時期も同様に、買取の強化が期待できます。
売却を避けるべきタイミング
一方で、売却のタイミングによっては損をしてしまうケースもあります。例えば、ご自身の愛車のフルモデルチェンジが発表された直後は、旧モデルの市場価値が下がる傾向にあるため、避けた方が賢明かもしれません。
基本は「思い立ったが吉日」
高く売れる時期を待つことも一つの戦略ですが、待ちすぎには注意が必要です。待っている間に年式が1年古くなったり、走行距離が延びてしまったりすると、かえって査定額が下がってしまうこともあります。基本的には、「売りたい」と思ったタイミングで、できるだけ早く行動に移すことが最も重要です。
査定前に車の状態を良くしておくべき理由

査定を受ける前に少し手間をかけて車を綺麗にしておくだけで、査定士に与える印象が格段に良くなり、結果として査定額アップにつながることがあります。
車が綺麗であることは、「この車は大切に扱われてきた」という何よりの証拠になります。査定士も人間ですから、汚れた車よりも綺麗な車の方が、より丁寧に査定しようという気持ちになるものです。また、買取後に発生するクリーニング費用を節約できる分、そのコストを査定額に上乗せしてくれる可能性もあります。
査定前に最低限やっておきたいこと
- 洗車:外装の泥や水垢を洗い流し、ボディの輝きを取り戻しましょう。ワックスまでかける必要はありませんが、綺麗な状態にしておくことが大切です。
- 車内清掃:フロアマットの砂やホコリを払い、掃除機をかけましょう。ダッシュボード周りのホコリを拭き取り、ゴミはすべて処分しておきます。
- 消臭:タバコやペット、芳香剤の強い臭いは、マイナス査定の大きな原因となります。査定前には換気を十分に行い、無香料の消臭スプレーなどを使うのがおすすめです。
高額な修理は不要!
車を綺麗にすることは大切ですが、お金をかけて傷やへこみを修理する必要は基本的にありません。修理にかかる費用が、査定額のアップ分を上回ってしまうケースがほとんどだからです。小さな傷はそのままにして、正直に申告する方が賢明です。
純正パーツや付属品を揃えて査定額アップ

車の査定額は、車両本体だけでなく、購入時に付いてきた付属品が揃っているかどうかも評価の対象となります。特に、純正パーツは中古車市場で価値が高いため、大切に保管しておきましょう。
もし社外パーツ(カスタムパーツ)に交換している場合は、査定前に純正パーツに戻しておくのが基本です。一部の人気の社外パーツを除き、多くの場合、純正の状態が最も高く評価されます。取り外した純正パーツがある場合は、査定時に必ず車と一緒に提出しましょう。
揃えておくと評価が上がる付属品リスト
- 取扱説明書・保証書
- メンテナンスノート(点検整備記録簿):定期的にメンテナンスを受けてきた証明となり、査定士からの信頼度が大きく向上します。
- スペアキー(スマートキー含む):鍵が一つ欠けているだけで、数万円単位のマイナス査定になることがあります。
- 取り外した純正パーツ:純正オーディオ、純正マフラー、純正ホイールなど。
これらの付属品は、次のオーナーにとっても価値のあるものです。すべて揃っていることで、「前のオーナーは物を大切にする人だったんだな」という良い印象にもつながり、買取店も再販しやすくなるため、査定額にプラスに働きやすいのです。
まとめ:中古車買取は売値の何割になるのか
この記事では、中古車の買取価格が売値の何割になるのか、そして愛車を少しでも高く売るためのポイントについて詳しく解説しました。最後に、記事の要点をまとめます。
- 中古車の買取価格は販売価格の6割から7割が一般的な目安
- 販売価格との差額には買取店の利益や様々な経費が含まれる
- 買取価格を決める大きな要因は年式と走行距離と車種の人気
- 年式は新しく走行距離は短いほど査定額は高くなる
- 中古車市場で需要の高い人気車種は高価買取が期待できる
- 近年の中古車価格高騰は新車の供給不足が主な原因
- 買取店の利益には整備費やオークション費用などの中間マージンが含まれる
- 高く売るためには自分の車に合った買取業者を選ぶことが重要
- 最も効果的な方法は複数の業者から見積もりを取る相見積もり
- インターネットの一括査定サイトを利用すると効率的
- 車の需要が高まる1月から3月は買取価格が上がりやすい
- 査定前には洗車や車内清掃をしておくと印象が良くなる
- お金をかけて傷やへこみを修理する必要はない
- 純正パーツやメンテナンスノートなどの付属品は揃えておく
- 最終的には複数の選択肢を比較し納得できる売却を目指すことが大切